目の前に青い海が広がる福岡市西区今宿にあるシェアオフィス「SALT」。海の向かい側には糸島が見えます。そのビル4階1フロアを、シェアオフィスの会員や地域の人たちと学びや体験ができるスペースとしました。深海のような深い藍色と、太陽や風雨にさらされて変色した自然の木が持つ力強い表情。窓一面から飛び込んで来る明るい青色は、海の中から見上げた水面のようにキラキラと輝いています。その青のコントラストが特徴的な深海の図書室。
代表の須賀さんの「海と森を繋げる場所にしたい」という言葉から構想が始まりました。もともとここはテレアポの事務所となっていて、大勢の職員が箱詰めで仕事をしていて、こんな海沿いの好立地にそぐわない雑居ビルの1室のような雑然とした雰囲気だったそう。その業者さんが退居した後に、SALTチームが新たにこの場を作ることを決めました。「風通しがよく気持ちのいい空間に」「収益というより心が満たされる空間に」使う人たちが代わり、自然素材に囲まれ、風通しが良くなったこのフロアは以前とは全く別の空間になったのです。
壁に使用した木材は風雨に晒して古材のような自然の表情が出た荒い日田杉を使用。床は芯材である赤身材で浮造り(うづくり)という仕上げにしていて、木の節の部分が飛び出るような仕様で、足の裏で身の表情を感じることができます。本棚はこの場所に合わせて造作したもので、植物性天然オイルのオスモオイル仕上げで、杉赤身の深い色味が出ています。木材は全て日田杉を使用。日田の森と今宿の海が繋がった空間になりました。
壁の藍色はベタ塗りの1色ではなく、濃淡をつけた特殊塗装仕上げ。使用した木材は綺麗に製材された木材では出ない不規則であり、1つ1つの木が持つ個性が出る。人間が完全にコントロールできないもの、時間を経ることによって出る表情。製材所と一緒に研究しながら作ってきた木材です。